開示請求の手順

発信者情報開示請求はどのように進めるのか。

弁護士の男性

これを行えるのは被害者本人かその代理人に限定されます。

匿名掲示板で我が社が侮蔑されている、あるいはその製品が誹謗中傷されていると なった場合、相手に損害賠償させるために犯人を特定しようと行動します。 その第一歩が発信者情報開示請求ですが、これを行えるのは被害者、権利を侵された 者だけなので、第3者が勝手に行っても相手にされないかもしれません。 親戚の子供の隣人の祖母の元彼がボロクソ書かれていて気の毒だから助けたい、 本人に代わって止めさせようと思うから相手の連絡先を調べています、だから発信者 情報を開示して下さい、とサイトの運営者に連絡をしても、高確率でこの請求は拒否 されると予想されます。 ダメだったからと裁判所に開示の仮処分命令申請をしたところで、本人でなければ お断りされてしまうでしょう。 開示請求できるのは被害者本人かその代理人である弁護士だけなので、仕事が忙しくて 時間がないからと友人に依頼してもこの情報はほぼ入手できません。 本人ならいいんだね、と解釈されそうですが、手続きについてなんの知識も無い人 がやるには少しばかり難しいので、弁護士に依頼するのが一般的です。 これには数十万円の費用がかかりますので痛い出費になるでしょうが、この金額で どれほどの難易度かも理解できるのではないでしょうか。 だいたい20万円ほどというのが相場で、弁護士がこれだけの金額を要求する仕事 だから楽な手続きなわけがありません。 大卒の初任給に匹敵する大金を支払わなければやってもらえない、それだけの手続き だからこそ素人には手に負えないので素直に弁護士にメールしましょう。 メールでなく直接電話でも構いませんが、用意する物としては支払うことになる 報酬以外にも、該当する掲示板でどんなことが書き込みされていたのかを示す証拠 も依頼時までには準備しておくといいでしょう。 プリンタを所有しているのならその部分がわかるように印刷を、持っていなければ パソコンショップで購入するか、そのお金が勿体無ければプリンタが使える インターネットカフェを利用してもいいでしょう。 この手を使えば数百円で証拠を印刷することができるはずです。 マンガの単行本が山ほど所蔵されているカフェなら、ついでに読みたかった漫画を 一気に読破してもいい気分転換になりそうです。 ただしあまりに巻数が多く発行されている作品に手を出してしまうと、その日だけ では読み終えることができずにしばらく通いたくなってしまうので注意しましょう。 200巻まであるような大作を1巻から読み始めようとしたら、1時間に4冊ペース でも50時間、6時間パックでも十日間ほどかかってしまいます。 トイレに行く時間や本棚から単行本を持ってくる時間もありますし、九日間では 200巻を読み終えるのは難しいのです。 またインターネットカフェはフリードリンク制が主流なので、滞在時間中の飲み物 は自分で取りに行かなければなりません。 そうした時間も勘定にいれると、十日間というのが正解になるでしょう。 話が逸れてしまいましたが、証拠を印刷して弁護士に依頼をしたらじきに発信者情報 かIPアドレスが開示されることになります。 そこが会員登録制のサイトで書き込みをした者の情報が即ゲットできる可能性は 低いので、たいていはIPアドレスが開示されるだけでしょう。 この段階では相手の名前も年齢も性別も分かりませんが、どのプロパイダを使って インターネットに接続して誹謗中傷したのかだけはわかります。 サイトの管理者もそれ以上のことは分からないので、該当する書き込みを削除して もらったら管理者とのやりとりは一旦終了、次はプロパイダとのやりとりへと移行します。 最初からそんなに簡単に犯人を特定できるわけがない、そう思って調査をはじめた 方がいいかもしれませんが、ここまでで特定までの道程はおよそ5割です。